ADHD(注意欠如多動性障害)の原因と対策

ADHD(注意欠如多動性障害)の原因はまだ特定されておらず、様々な研究が行われています。遺伝的な障害なのか、環境が要因であるかも判別されていないのです。現在はどちらか、あるいは二つの要因が重なって発生するものと考えられていて、様々な議論が起こっています。

ADHDって何が原因なの?

注意したいのは、環境が要因と言っても、しつけなどが原因ではないと言うことです。脳の成長はしつけなどの教育以外の面が影響することが大きく、未解明の部分もあります。先天性の障害である可能性も含めて、教育だけで発生を防ぐことはできないからです。

ADHDが発生する原因は解明できていないものの、その仕組みについては研究が進んでいます。特に有力とされるのが脳の働きの偏りです。ADHDの人は通常の人に比べて前頭葉の働きに偏りが見られるケースが多くなっています。

前頭葉は物事の整理整頓や、判断を行うために重要な部分です。また、行動をコントロールする神経が存在します。ADHDの人は情報の整理や、衝動的な行動が多いことから、前頭葉に何かしらの問題が発生していると考えられています。

神経に情報を伝達する物質が十分に働いていないケースが多く、薬で補うことで症状が改善される場合があるのはわかっています。ただし、どうして働きが弱いのかが解明されておらず、根本的な治療ができないのです。そのため、薬や様々な習慣づけで対策を行うのが一般的になっています。

ADHDだと生活に支障が出る?

ポイントになるのが、ADHDであっても生活に支障がなければ問題は生じないことです。障害があるとなるとマイナスに考えがちですが、特性を考えて周囲が配慮を行い、本人が適性にあった生活をすれば軋轢は生じないからです。ADHDと同折り合いをつけ、ストレスを減らしていくかが大切になります。

子供の場合は、教育が重要になります。ADHDの症状をなくすのではなく、自分がどういう人間なのか、どうすれば欠点をカバーできるのかを知るかが大切だからです。自分に自信を持つことで行動が改善される場合もあるため、心理的に支えることが大切になります

ADHDのマイナス部分を治そうとすると、子供の自信育たず、親子や社会の溝が深くなることが多い点に注意が必要です。ADHD治療は環境調整と心理社会的支援が重要で、無用のストレスを避けるのが基本になります。詰め込みすぎると処理が追いつかなくなりがちなため、処理能力に合わせてできるところからはじめるのが基本です。

子どもがADHDだと分かった場合の対応

親の側も知識を身に付けることが大切になります。これはペアレント・トレーニングと呼ばれ、専門の医療機関や講習で学ぶことができます。書籍などで学ぶことも可能で、子供の個性を見極めながら調整することが大切です

子供の対人関係の能力を磨く、ソーシャルスキル・トレーニングも代表的な治療です。保育園や学校選びを、専門技術を持ったスタッフがいるかどうかで選ぶのも方法です。周囲の理解がないと症状が悪化する可能性があります。

思春期に入ると、自分がADHDであることにコンプレックスを持つことが多く、必要な治療を避けるケースがあります。突き放してしまうと人間関係がこじれやすいため、しっかりと向き合うことが大切です。信頼関係が構築できていないと、治療にも悪影響を与えます。

教育などで補えない分は、薬で補うのが一般的です。大人になってからADHDが判明した場合も薬で補うことで心理的な負担が減る場合があります。また、自分の性格や症状に合わせた仕事選びも重要になります。

ADHDと長く付き合っていくために

周囲の理解が必要なことは大人になっても変わらないポイントです。また適正に合わない仕事を無理に続けても精神のバランスを崩す可能性が出てきます。常に苦しみを抱えた状態であれば、カウンセリングを受けて精神の健康を取り戻すなど、あわせて対策が必要になる場合があります。

障害者手帳の発行や自立支援制度など、医療費や普段の生活費の負担を軽減してくれる制度も存在します。行政の支援を受けることも有効な対策になるのです。

日本薬理学雑誌「脳の発達障害ADHDはどこまでわかったか?」(外部サイト)

教育社会学研究「医療化現象としての「発達障害」」(外部サイト)

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